新生姜が出ていたので、スライスして、梅玄米酢に漬けてみました。お寿司屋さんで頂けるガリのようになります。数枚、頂くだけで、おなかがほかほかしてきます。これからの季節は、冷たいものをとり、おなかを冷やすことが多いので、今の時期に出る新生姜を甘酢につけて、食卓に常備して、召し上がるようにしてはいかがでしょうか。
生姜は、薬用には、新生姜より気味の高いひね生姜をそのまま刻んで、生で煎用するか、乾燥して粉末または煎剤とします。そのまま乾したものは乾生姜、蒸して加熱乾燥したものは乾姜と呼ばれます。生姜は芳香性健胃整腸、駆風、矯味、食欲増進薬として、新陳代謝機能を促し、水毒を去る目的で、嘔吐、咳嗽、腹満、発熱、頭痛、鼻づまりなどに応用されます。乾姜は、腹の冷えて痛むもの、腰痛、腹痛、頭痛、瀉下などに応用されます。これを辛温の気剤といいます。
辛温の気剤は生姜に限らず、肺、鼻、皮毛(毛穴)などの呼吸器官からの発散を補い、大腸の働きを助けるので、腸のガスを発散する駆風作用があり、脾胃の活動をも助けるので、健胃整腸薬と呼ばれます。さらに心臓循環器の負担のもとに行われている頭痛、発熱、咳嗽、嘔気などの生理症状を、生姜は発散解消します。結果的には、辛温剤は、心臓を益することになり、消化吸収から排泄、血液循環、呼吸器の活動に寄与することになります。要約すると生姜は、湿気を気化して払い去り、血行をよくし、皮膚と呼吸器、胃腸の粘膜に働いて健全化を図り、そこに発生する微生物の発育を阻止する抗菌・抗かび作用を発揮することになります。
これが香あるものを皮膚や頭髪に化粧料とする慣習であり、香辛料を食品に応用する基本であり、疾病に漢方薬として使用されてきた原理であります。数多い漢方処方中、生姜または乾姜を配合したものは56パーセントに達していて、数多い香辛料の中でも、生姜は東洋人の体質に最も適合したものであることを物語っています。
ショウガには辛味成分と芳香成分とが共存しています。辛味成分には結晶性のジンゲロン0.4パーセントと油状のショウガオールがあり、芳香成分は精油2パーセントで、ジンギベレン、ジンギベロール、カンフェン、ボルネオールなどが含まれています。つまり、辛温剤は皮膚粘膜に刺激を与え、健康美を護る食品・薬物で、食べ物を腐らないよう、かびないようにして、速やかに消化吸収する薬味であります。
腐りやすい食品は美味なもので、生物の生存に必須の蛋白質であります。従って、先人は、肉、魚、卵、豆腐などを食べる時、必ず、生姜、山椒、番椒、胡椒、辛子、わさびなどを薬味として添えることを教えていて、それが不足したり、多すぎたりすると、肝臓がそのしわ寄せを負うことになります。
参考:渡邊武「古稀記念著作集」