高田屋伊東薬局の薬剤師・鍼灸師 伊東慶祐でございます。
2月28日、岐阜県可児市姫治公民館をお借りして、薬膳料理を作ってみました。
春は木の芽が吹き、枝が伸びる季節です。私達も、そのように伸び伸びと過ごしたいのですが、肝の働きが弱っていると、それが出来なくなります。
四逆散は、肝気鬱結(かんきうっけつ)といって、気持ちが沈んだり、怒りっぽくなったり、胸がもやもやしてよくため息が出たり、のぼせたり、眠れなかったりする時に、よく使われる漢方処方で、柴胡(さいこ)、芍薬(しゃくやく)、枳実(きじつ)、甘草(かんぞう)の4つの生薬で、構成されています。
今回は、この四逆散をベースとして、味噌スープを作ってみました。
柴胡、芍薬、枳実、甘草各6グラムをだしパックにまとめて、鍋に入れて、水800cc、市販のだしの素(今回は創健社のもの)を加えて、煮ます。沸騰後、弱火にして20分、生薬を鍋から取り出し、味噌(今回は海の精・玄米味噌)を好みの量、入れます。すりおろした山いも、生姜を混ぜて、加え、煮立つ前に、火を止め、できあがりです。
各生薬の薬味・薬性などは以下の通り。
柴胡:苦・平・血剤 セリ科のミシマサイコの根。
芍薬:苦・平・水剤 キンポウゲ科のシャクヤクの根。
枳実:苦・寒・血剤 ミカン科ダイダイの未熟果または成熟果を乾燥したもの
甘草:甘・平・脾胃剤 マメ科カンゾウの根
各食材の食味・食性、特徴などは以下の通り。
味噌:鹹・温
山いも:甘・温 ぬめりが特徴で、粘りが強いものほど、栄養価が高いです。ぬめりの成分のムチンは美肌を作り、若返りに役立ちます。消化、吸収力が強いので、内臓機能を高め、精力を増強させる働きもあります。滋養強壮も高く、虚弱体質を改善します。
生姜:辛・温 独特の辛味が特徴です。殺菌作用、消臭効果もあるので、魚や肉の臭みを消します。辛味の成分が血液の循環をよくするので、体を温める働きがあります。発汗作用もあるので、風邪のときにはしょうが湯にして、のむとよいです。
四逆散は、苦い煎剤なのですが、鹹味の味噌を加えることによって、苦味が鹹味に剋され、苦味がマイルドになりました。
冬に弱った腎を助け、陰を補うために、また、四逆散による耗気耗血耗陰を防ぐためにも、山いもを加えてみました。煮立つ前、半生ぐらいの状態で、火を止めると、おいしかったです。
辛味である生姜を加えることによって、苦味をさらに緩和し、苦味による体の冷えをカバーします。
この日は、暖房が暑いくらいで、のぼせ気味になっていたのですが、この味噌スープをいただくと、のぼせは鎮まっていました。
注意事項として、気虚の方、血虚の方、陰虚の方には、四逆散に使う生薬の量を少なめにして下さるよう、お願いします。
なお、春のいらいら、気鬱など肝の働きの低下による体の変調に合う漢方は、その方の症状や体質によって異なりますので、高田屋伊東薬局に、お気軽にご相談下さい。
参考:渡邉武著「平成薬証論」、渡邉武著「米寿渡邉武著作集」